[100+] Megumi Yamashita

自己紹介をお願いします。

主にダンスの演出をしています。一般の方向けにワークショップを開いたりしています。作品を作る際には、観客から集めた言葉をコラージュ的に使って、それを身体との関係性をつくしながら淡々と社会問題や世界観を照らしていくような作風が特徴です。

ワークショップの対象とその場所は?

どちらも特に限られてないですね。ダンサーの方が来てくれる時もあるし、全然ダンスと絡まったことない普通のお母さんが幼稚園生の子供と一緒に来てくれたり。小学校にてすることもあるのですが、予想外の展開が起きるので対応しきれない時があって、とても面白く感じますね。(笑)最近は、三鷹と吉祥寺の間にある井の頭公園で、ジブリ美術館のとなりでもありますが、よく野外ワークショップを行ったりしています。

なぜ「体」っていうものに興味を持っていますか?

そうですね。「体」って言葉では共有できないものを表現できる時があるなと感じ始めた時ですかね。例えば、痛い!とか狭くて苦しい!とかの感情を「今、狭くて苦しいよ!」って言葉で伝えるのと、その状態を体を通して見る感覚の共有の度合いが全然違うじゃないですか。言葉より体の方がダイレクトに伝わるし、リアルな感覚を、みんなが一回くらいは体験したことあるから、共有できるよねって考えてたんですね。

演劇を始めたキッカケはなんですか?

芸術高校の舞台芸術科に入学して、演劇やダンス、舞台のことを勉強しました。休みの日に劇場に通うようになってのめり込んじゃったって感じですね。(笑)その時から色々な作品を見て、演劇ってこんなに自由に表現できるんだって、衝撃を受けました。特に、一番衝撃を感じたのは、高校1年の時で、富士見市民文化会館キラリふじみでやった、寺山修司原作で多田淳之介さんが演出した「奴婢訓」っていう作品です。舞台上で広がる自由な表現力にすごく驚きました。

作品を作る際、どういうところを目指していますか?

参加型の作品を作り始めたのが、そもそもコロナが流行りはじめてからですが。劇場に来づらい人が増えるにつれ、映像配信で見てもらうことが多かったんです。でもお客さんがその場にいる感じだったり、劇場で生で作品を見ながらその一部になったりするようなことを体感することが難しくなったんですね。それが残念だと思って、距離が遠くても、他人事としてではなく、自分のこととして作品を見てもらうために、事前にお客さんが送った文章を使って作品を作るというやり方で創作をしています。

今まで、印象に残る作品やお仕事はありますか?

去年の夏にやった吉祥寺シアターの「からっぽの演劇祭」です。コロナ禍でフェスティバルとして何ができるかなどを考えながら作ったお仕事でした。映像配信が多かったですが、そういう形で作品を発表するのも初めてで、お客さんの反応が全然見えない状況が不安でもあり、不思議でした。その時から観客から言葉を集め、それを作品にするっていうのをやりました。思ったより色んな人が送ってくださって、自分のテキストでは考えない、予想しなかった言葉が出て来たりして、私の考えが広がっていくような感じがしました。例えば、テーマの一つである「私が思う良い未来」というのがあって、みんながネガティブな未来を考えていたのでそれが意外でしたね。多分今起きている目の前のことが大変すぎて、現実味がないことを想像する余裕がないからかもしれないですね。

演劇に関する最近の議論の中で、一緒に考えたいことはありますか?

どうしても配信のことを考えざるを得ない時代になってしまったと思います。一方で、劇場の役割というのを考えます。劇場という場所は単純に作品を観て帰る、だけじゃなくて、人が集まる場としての機能もあります。今までは知らない人同士が集まって、同じ作品を観て、その後ロビーで感想を話したり、そこでまたコミュニティーが生まれたりする場としての存在でしたが、それがコロナ禍で失われてしまって、私たちは一体どこでそれを担保して、保たせるかなどを考えなきゃいけないところだなと思います。

演劇の魅力を教えてください。

作家目線では、感g萎えるキッカケを作ることができることですかね。舞台上で誰かの身体を通して、言いたいことやその風景を伝えることで、普通に言葉で話すよりも切実に感覚を共有することができると信じています。観客としては、知らなかったことを知る機会を作ることができることです。自分が想像して来なかった世界、自分とは全然違う人の頭の中を覗いてみるような、多様な表現の仕方やその世界観に触れることができるのが一番面白いところだと思います。

影響を受けたアーティストや作品がありますか?

オハッド・ナハリンというイスラエルのバットシェバダンスカンパニーの振付家です。彼の作品も好きですが、世界中色んなところで誰でも参加できる「Gaga」というタイトルのワークショップを開催している団体です。振り付けを踊れるようになれるとかではなく、自分の体でできるダンスを自分の体を通して探していくワークショップがあって、私もわざわざ現地まで行ってその授業を受けてきました。イスラエルにはその舞踊団の劇場があるので、毎日のように一般の人向けにそういうイベントをやっていて、1週間くらい滞在しながら学んできたことがあります。

コロナ時代の新しい創作方法や計画があれば?

これからもどんどん変わっていくと思いますが、とりあえず今の段階でできることとしては、劇場で集まって舞台を見れなかったとしても、お客さん側から何かしらの形で作品に参加してもらうという方法をとる。コロナ時代だからこそできることを模索すること。以前にはできなかったけれども、映像配信などの形でアートが広まったことで、海外や東京以外の地方に住んでいる人々にも自分の作品を届ける可能性が増えましたね。

アーティストとしての人生を振り返ってみると?

人との出会いに恵まれてきたなと思いますね。これまでの私にとってはすごく大きかったことです。高校卒業して、演劇の業界のことも何もわからないまま、この世界に飛び込んで得たので、私が今やっている「ひとごと。」という団体を手伝ってくれた人とか作品を観て評価してくれた人、仕事を依頼してくださった人など…出会えてきたことがすごくありがたいし、人との関わりがあって今に繋がっているでしょうね、きっと。

今後の夢や目標は何ですか?

世界中の様々な人たちの話や言葉を集めて、作品を作ることです。海外、日本関係なく、もっと色んな人に出会いたいです。将来では、舞台芸術に限らず、活動領域を広げて、違う表現にも挑戦したいですね。

インタビュー&編集 キムヒジン


山下恵実

「ひとごと。」主宰。青年団演出部所属。演劇やダンス作品の創作のほか、俳優や一般市民向けWS「おどってみる会」を行うなど、幅広く活動。横浜ダンスコレクション2020コンペティション奨励賞受賞。

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